ご注意:苦痛・流血をともなう本編の過激描写は、小説としてのフィクションです。決して人体に試さないで下さい。死亡・大怪我・病気に至ります。

少年王

■九幕


 ルデア王女の安否を求めて奔走している東国の大使は思いがけぬ
人物からルデアの消息を知らされた。
「僕や、神官長や他の男たちは、王さまの性奴隷の性感帯を調べたり、
再開発したり、昇天させたり、屈服させて言うことをきかせるのが
楽しいんだけどさあ」
 だらしなく食事の席にかけた王弟は、この話は内緒にしておいてくれと
幾重にも断った上で、旺盛な食欲をみせながら、大使に愚痴った。
「王妃のは、怖いんだよね」
 王弟の報告によれば、ルデアの調教には王妃も加わっているらしい。
「ルデアちゃんを苦しめれば苦しめるほど、王妃はにたあっと嗤って
悦んでいるんだよ」
 後宮から姿を消してこのかた、ルデアは地下の拷問室で、泣き声も
枯れるほどに責めぬかれているという。最悪の知らせを受けて衝撃
さめやらぬ大使の無言をなんととってか、王弟は首をふった。
「これは王妃の言ったことだけど、北の国の王女には、まだまだ
利用価値があるんだって。そのためにも一から調教しなおして、
穴という穴を鍛えておかないといけないんだって。敗国の王女を
性奴隷として飼い殺し、晒し者にするって言ってたよ」
 行儀悪く両手に食べ物を手にし、王弟は口を尖らせた。
「王妃や下男たちの手にかけられたルデアちゃんが、乳房をふりたてて
見たこともないほどによがり狂っているのを見ると、あ、やっぱりルデアちゃんは
淫乱なんだなって思うな。あんなに上品でおしとやかな女を薬漬けにして
最下層の奴隷でも出来ないような、いやらしい淫芸を仕込むつもりなんだから、
王妃は、王よりも怖いよ」
「王弟さま」
 秘蔵の酒を王弟に差し出しながら、大使は頭を回転させて、好奇心と
体面への遠慮が混じったような、それらしき笑みをつくった。
「どうか、その話の続きをまたおきかせ下さい。ルデアの調教過程には
私も興味がありますから」
「一緒に来ればいいのに。王妃に、大使がルデアちゃんに
浣腸したがってるって頼んであげようか」
「いえいえ」
 大使は苦笑いをつくった。
「どうも私は実地に励むよりは、人の口から話を聴くほうが快く、愉しく想うようです。
それに、これでもしも王が生きてご生還となった暁には、私は王妃さま当人よりも
奴隷ルデアの死亡理由の真相を隠蔽し、王妃さまのために小細工しなければ
ならぬ立場です。それには、一歩ひいておいたほうが、都合がよい」
 大使の説明に王弟はあっさりと納得した。
鈍重なからだを椅子から起こした王弟は、満腹になった腹をさすりながら、
「さ、監獄の王女ちゃんを慰めに行こう」
 と言った。
「今からですか」大使は驚いた。
「そう。今なら、王妃は休憩中でいないからね」
 王弟は、弾む足取りで、ルデアへの土産を入れた袋を片手に、大使の
部屋から出て行った。
「ルデアちゃん、可愛いルデアちゃん」
 足音をしのばせて獄内に入ってきた王弟は、ルデアが獄内においても
口枷を嵌められ、鎖で石壁と繋がれていることにぎょっとしたものの、
その視線はすぐにルデアの胸や股へとうつっていった。
 先刻まで宦官たちがルデアを使って遊んでいたらしく、散々なことをされた
ルデアは、その形跡も濃厚にうなだれて目を閉じていた。
 灯りを床におくと、王弟は壁の環と足首を繋がれている虜囚のルデアに
そろそろと手を伸ばした。
「大変だったね。可哀相に」
 そう言いながらも、王弟はルデアの衣をはぎとっていった。
雪のように白い女体が獄の中に浮き上がった。ルデアの乳房は聖地のように
かたちよく盛り上がり、細い腰から尻へと続く曲線は、女の性を匂わせた。
王弟はあばただらけの脂ぎった顔をルデアの肌に擦り付けて嘆いた。
「こんなにもすべすべのルデアちゃんのお肌が、これからあの王妃に
鞭打たれたり裂かれたりするなんて。神官長ですら王妃の言いなりなんだ。
でも大丈夫だよ、僕がお前を殺させやしないから。ほら、見て」
 王弟は片手にさげてきた袋から、新しい責道具を取り出した。
「お前が僕の言うとおりにするなら、僕はお前を守ってあげる」
 だらけた口調とは裏腹に、王弟は待ちかねたように、ルデアの膝を開いていった。
祈祷室と同じようにルデアが受け入れるものと信じて疑っていない王弟は、
ルデアの状態もろくに見ぬまま、そこへ淫棒をあてがった。
 王弟がひそかに出入りさせたその道の商人から買いつけた責具は、
「どんな女でもこれにはたまらない」との売り文句を誇るかのように、
巨大なねじのような形状をしており、先が膨らんで丸かった。
「さあ可愛いルデアちゃん。いつものようにひいひい泣かせてあげるからね」
 躍り上がるようにして王弟はルデアを藁の上に押し倒し、それを
ルデアの膣へと押し込みはじめた。
「ルデアちゃん、ルデアちゃん。僕のお人形」
 王弟はルデアの中に張型を埋め込むと、それでもってこすりつけ、こすりあげた。
口枷を嵌められた女の息が苦しげに乱れ始めた。鉄枷ががちゃがちゃと鳴った。
王弟は手の平に唾液こぼし、それをルデアの陰部になすりつけた。
「いやがっても、ルデアちゃん、からだは正直だね。もう濡れてるよ」
 口枷を嵌められているためにろくに息も出来ぬ女をひっくり返し、王弟は
今度は後ろから突き上げはじめた。
「王妃みたいなおっかない女よりも、僕はルデアちゃんがいい」

「……最終的にはルデアの皮を生きたまま剥いでやるつもりだけど、なるべく
あのきれいな肌と顔はそのままにして長持ちさせておくわ」
 覗き窓からルデアの牢獄を監視し、王弟に犯されているルデアの様子に
目を据えていた王妃は、女奴隷の膣と肛門に王弟が特製の責具を押し込む
ところまで見届けてから、覗き窓を閉めた。
 王妃は腹心の侍女に告げた。
「お前も知ってのとおり、男のほうが気が小さい。傷口から蛆虫がわいているような
女を好む男はいないからね。たとえそれが、性欲処理の便壺であっても」
「王妃さまのおっしゃるとおりでございます」
 侍女は笑って頭を下げた。王妃は顎を尖らせた。
 牢獄からは、王弟の声と女の苦しげな呻きが上がっていた。


 牢獄に繋がれた女体は、羽根をもがれた天人のように無力で、かよわかった。
閉じ込められたそのかぼそい肢体は、一切の自由を奪われたまま、赤々と不気味に
燃え盛る地下室の暖炉と篝火に照らされて、男たちの前に投げ出されていた。
 地下室に落とされた女奴隷の名は、いつとはなしに、宮廷人たちの間で
ひそかな噂になっていた。王妃は、男たちがその噂を聴いた時の反応を
つぶさに観察し、強い関心を示したものを選りすぐると、一人、また一人と、
地下室に招きいれはじめた。
「どうぞ皆さまの手で、この淫乱奴隷に折檻をしてやって下さいな」
 王妃はそう言った。
 膣をひらく鳥のくちばしのような器具が用意され、ルデアの性器に差し込まれた。
「ご覧のように、何でも咥えこむ女なのですわ。お仕置きに、馬用の浣腸を
いつもの倍量たっぷりと注入してやって下さいな」
「顔ぶれは」
 大使は、いつものように報告に来た王弟に訊いた。
 王弟が述べる男たちの名を、大使は頭に刻み込んだ。
 王妃が地下室に招いた男たちは、もとから王に忠実ではない有力一派の
中から選ばれていた。王妃はそうやって、王が未帰還の場合、宮廷を牛耳る
準備を着々と進めているのだと思われた。
 そこまで血のめぐりがよくない王弟は、無神経に続きをぺらぺらと語った。
「液体が全部入るまで、男たちはルデアちゃんの肛門に浣腸器を
挿しこんだまま、わざと注入に時間をかけるんだ。ルデアちゃんは
押さえつけられて、乳首をもまれたり、いじられたりする。快感を
覚えさせる為なんだって」
 なにくわぬ顔で大使は傾聴した。
「犬に餌をやるのと同じですね。それで?」
「男たちは次にルデアちゃんのお尻に栓を嵌めるんだ。ルデアちゃんはすぐに
脂汗をかいて、お腹の痛みに身を折ってしまう。だけど王妃がいいと言うまで、
奴隷の栓はそのままにされるんだ」
「気絶したわ」
 靴の先で女奴隷の下腹を蹴りつけ、王妃は冷たく嗤った。
「このメス犬は、気絶すれば手加減してもらえると思っているようね」
 王妃の靴は、ルデアの乳房を乳首の上からぎりぎりと踏みにじった。
う、と呻いて奴隷が苦しげに薄目を開けた。王妃はルデアを抱え起こさせて、
不浄桶を持ってくるようにと宦官に命じた。
「さあ、淫乱王女が糞をひねり出す芸にうつりますわよ」
「それで」
 王妃の暴挙に眩暈を覚えつつも、大使は冷静を装い、話の続きを求めて促した。
「注入と排出を繰り返してルデアちゃんのお腹がすっかりきれいになると、
宦官がルデアちゃんの肛門まわりに薬を塗る。あれ、何の薬かな」
「おそらくは括約筋をゆるめるための塗り薬です」
「ルデアちゃんのあんな悲鳴はじめてきいた。他の男たちも順番が待てなくて、
あいているところを使い始めるんだ」
「二穴責めを?」
「ううん、三穴。よってたかって」
 上からも下からもよだれを流している性奴隷の首輪の端は、王妃が握っていた。
「ルデアちゃん、ああんああんって泣き叫んで、可愛いかった」
 大使はとりあえず、過度の浣腸は体に毒であるから止めるように、いたし方ない時も
薬液を使わず、湯で浣腸にするようにと、王弟の口から王妃に言ってもらうことにした。

「処女検診をするんだよ」
 今日も王弟は、ぐずぐずと大使に愚痴った。
「処女検診?」
 王弟の室に呼び出された大使は、調和のとれていない金ぴかの調度に
内心で辟易しつつも、話に耳を傾けた。
 王の弟とはいえ誰からも認められていなかった若者は、王の不在の間を
狙って神官長の後押しをうけ、その待遇は以前に比べて飛躍的に向上しており、
居室もそれまでとは比べ物にならないほどの豪華絢爛な部屋へと引っ越していた。
「うん。こう、板の上にルデアちゃんを寝かせてね。脚を左右に開かせて」
「処女検診ではなく、性器検診ですね」
「違う、処女検診。それを王妃は、男たちにやらせるんだ」
 似たようなものだが、趣きとして、処女検診のほうがそそられるらしい。
膣鏡や張型を用い、女の茂みをかきわけて、知っている女たちのそれと
見比べて確かめる者もいるという。
「ああ、それは」
 大使は合点した。
「ルデアには、名器という噂がありましたね、そういえば」
「器具を突っ込まれると、蛙の格好にさせられたルデアちゃん、ひくひくっと
するんだ。乳首や肉芽の色がとびきりきれいだし、弄られると初々しい反応を
見せるから、男たちも面白がってね」
 処女ではないと誰もが知りながら、女体に処女検診を行うのだという。
「男たちが列を作って、ルデアちゃんのあそこを順番に触るんだ。
指を入れたり拡げたり。反則なんだけど指技で悪戯をする者もいて、
ルデアちゃんも、だんだん濡れてきてしまうんだ」
 王の美しい性奴隷が自分たちのものになるという餌は、男たちを従わせるのに
絶大な効果があった。
 その全てに立ち会っている王弟は、終了後、小太りの体を大使の部屋まで
はこんできては、要領の得ない語り口で仔細を述べた。
 王弟の不満は、ルデアを独り占めに出来ないことに尽きており、おかげで
大使は王弟のこぼす不平から、地下室で行われていることを把握することが出来た。
 王妃はこう言うんだよ、と王弟は居丈高な口調を再現してみせた。
「お前が王のご無事を祈るお祈りを怠って、霊廟で淫らなことにかまけていたから
王は戦地でご病気になったのだ、王がご病気になったのはお前のせいだ、
王妃はそう言って、毎日ルデアちゃんを責めるんだ」
 そう言われると、ルデアは観念したかのように、すべての抗いを
やめてしまうのだという。
「こじつけもいいとこなんだけど、ルデアちゃんは身に覚えがあるみたい。
神官長もにやにや笑って、同じようにルデアちゃんの耳にあの時のことを
思い出させるようなことを吹き込んでは、男たちの前で辱めるんだ」
 大使は暗然たる気持ちになった。
もしも勘があたって、王ばかりでなくルデアの方も王を愛しているのだとしたら、
ルデアは王を案じるあまりに、王妃のきつい言葉で自分を責めるばかりであろう。
「おいたわしいこと」
 あとでそれを聞いた女官は涙を流して、大使に訴えた。
「きっとルデアは殉教者のように自分が犠牲になることが、王のお命を
助けることになると信じているのに違いありませんわ。何とかなりませんの」
「王を探すことが先決だ」
「そんな悠長な」
「王は、きっと生きておられる」
 しかし生死不明のままの王に見切りをつけて、王妃と王弟へと転ぶ者は
日を追うごとに数を増した。
 王妃は彼らを地下室に集めては、日々、憎いルデアを晒し刑にして愉しんだ。


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