ご注意:苦痛・流血をともなう本編の過激描写は、小説としてのフィクションです。
決して人体に試さないで下さい。死亡・大怪我・病気に至ります。


[雄鹿の館]・W




 オーレリア。
客人の前で粗相をしたお前を、これから、罰する。
オーレリアを、もう一度、蛙の格好に縛るのだ。
 肉玩具どもを地下室に連れて来い。
刑罰は、見せることにこそ、意義がある。
 

 雄鹿の角の上に掲げられている女の剥製は、美しい姿のままで、時を止めていた。
ぶら下がっている四肢。角の枝の間からのぞいている乳房。
がっくりと傾いた頭部と、流れ落ちるままになっている金の髪。
剥製の女の陰毛は剃られてはおらず、硝子灯の明かりに、産毛のように透けており、
角にかけられた両脚の間はわざと少し開かれて、陰部の陰りを見せている。
 剥製の女は、男たちに視姦されるがままにそこにあり、そして生前の官能美をいまも
たたえて、なやましかった。
「ギョーム様、ようこそおいで下さいました」
「女の剥製は、他にもまだあるのか?」
 お仕着せを来た従僕は、答えの代わりに、馬車を降りたギョームにただ頭を下げた。
返答ができない事項については、彼らがそうしてかわすことに、ギョームはもう慣れていた。
「鹿の角の上の剥製に関心がおありとか。あれは、名を、カトリーヌといいました」
 従僕から聞いたのであろう、クラオン候がこともなげにその話をふってきたのは、いつもの
調教部屋であった。
クラオン候の話を聞きながら、うつ伏せにさせたシモーヌの白い尻に、ギョームは
張型を埋め込んだ。
『雄鹿の館』に通うたびに責具を徐々に太くしていったが、シモーヌの苦しみを見ていると、
このあたりがひとまずは限界のようであった。あとは男のもので鍛えてやり、シモーヌが悦びを
覚えた頃に、またあらためて拡張をほどこしてやればいい。
 女の肛門は、すぼめた唇のように、ぎっちりと責具を呑み込んでいる。
上体を台の上におかれたシモーヌのか細く白い肢体が、拘束されたまま、苦痛を訴えてもがく。
「ア、ア、」
「剥製にしたカトリーヌは、お客さまのご要望で足首の腱を切っておりましたので、自分では
歩くことができませんでした」
 潤滑液を垂らしてやり、摩擦の痛みを軽減してやる。
張型が少しゆるやかに滑り出し、女の深部に、突起を備えたものが深々と重く沈む。
シモーヌが背をのけぞらせる。その女の顔を、三面鏡がくまなくとらえ、男たちに見せている。
張型を女の直腸に擦り付けるようにして可愛がってやる。シモーヌは泣き始めた。
「足首の腱を切られ、床を這っている美しいカトリーヌは、陸に揚げられた人魚のようでした。
お客さま方は、実際にもカトリーヌを水槽に入れて溺れさせ、その様子をお愉しみになられました。
吊り上げる時には、網をかけるのです。好色な漁師たちに捕まった人魚はずぶ濡れのまま
その場で犯され、お客さま方の精液を上と下の口に、たっぷりといただいて、床の上を
跳ねていたものです」
「シモーヌ」
 ギョームは乗馬鞭で、軽く、シモーヌの尻を打った。
「力を抜け」
「歩けないカトリーヌを抱き上げて、三角木馬の背に乗せることも、お客さま方の好まれるところでした」
 もっとも、後の使用に差し支えないように、尖りの部分には革を張らせましたがね、とクラオン侯は
その形状を説明した。
「それでも、三角木馬に乗せられたカトリーヌは悦んで、お客さま方のお赦しが出るまで木馬の上で
がたがたと暴れ、涎をたれ流しながら、腰を動かしていたものです。両足首には錘をつけてやりました。
白眼をむいてよがり泣くカトリーヌを見たいというお客さまがひきもきらず、中には、お手製の
三角木馬を持ち込まれて、カトリーヌに試す方もいらっしゃったほどで」
 シモーヌの膣を指で開き、手術用具のように並べてある責具の中から、ひとつ選んで咥えさせる。
音もなく、クラオン侯がつと隣に立ち、二本の責具の一方を引き受ける。
鏡の中のシモーヌは、真っ青になり、恐怖に縮み上がっている。
二本の責具がばらばらに動き出した次の瞬間、シモーヌは悲鳴を放ち、髪を振り乱した。
 拘束具を打ち鳴らして身悶える女のなき声も、クラオン侯の話を止めはしなかった。
「木馬を揺らしてやるのです。女のからだが衝撃ではね上がり、また木馬の尖った背に落ちる。
その繰り返しによって揺れ動く女のからだは、まるで本当に乗馬をしているように見えるのです。
せいぜい、小さな砂時計をひっくり返すほどの間しか肉玩具の股も持ちませんが、カトリーヌの
乗馬は、淫宴のいい出し物になってくれました」
 クラオン侯は巧みに張型を扱い、女の肛門を責め抜きながら、無表情に話を続ける。
固形物のかたちを分からせるように、ゆっくりと沈め、引き抜き、うずめ、往復をはやく、
そしてまた、浅くゆっくりと、はやく、ゆっくりと。
乱暴にせずに、たっぷりと時をかけて、炙るように寸止めにしておくほうが女が狂うことを熟知した
動きであった。
「生きた蛇を膣の中に入れてやった時の、カトリーヌをご覧いただきたかったものです」
 開かせた女の脚の下方から手を差し入れ、シモーヌの陰核を撫でてやりながら、ギョームも
女壷に立てた張型を動かしてシモーヌを悦ばせてやる。深く、浅く、こねるように。
淫液をこぼしながら、シモーヌの尻と腿がびくびくと痙攣を引き起こす。
 美しい、肉玩具。
「カトリーヌを中庭に放して、人間狩りをしたこともあります。捕まえたカトリーヌを輪姦してから、
浣腸をほどこし、四つん這いにさせて、草の上に排出させました。
首輪をつけられたカトリーヌの胸先を鞭打ってやると、よい声で鳴いたものです。
そう、ちょうど、いまのこのシモーヌのように。-------ギョーム様、お待ちを。シモーヌが」
「最近はよくこうなる」
「まだお客さまのお赦しがないというのに、何というはしたない。支配人のわたしに恥を
かかせてくれました。後で、仕置きをしてやらねば」
「カトリーヌは、なぜ、死んだのです?」
 シモーヌは、薄く白目をむいて、死んだように弛緩していた。
クラオン侯が見ている中で、肉玩具の膣に肉棹を圧し入れ、ひとまずは滾ったものを放出しておく。
拘束具をはずされ、股間を拭われたシモーヌは、呼び鈴を鳴らして呼び入れられた下僕に
抱えられて、調教室から運び出された。
「洗って、部屋へおいておけ」
 ギョームは下僕に命じた。
「シモーヌは、鹿の上の剥製に似ておりますでしょう」
 くつくつと、クラオン侯は笑った。
わが館のお客さま方の趣味に適うだけの美しいメスを見つけるのは困難ですが、
それだけに女体狩りは愉しいもの。ギョーム様ならば、きっと、シモーヌを気に入っていただけると
そう思っておりました。


 ------カトリーヌは、なぜ、死んだのです?
 ------女の剥製は、他にもまだあるのか?


 法務院の大階段を下りていると、表玄関から、年配の判事が気さくに片手を挙げて
ギョームを招いた。
 特に親しいわけではないが、法曹界に入って以来、何かと目をかけてくれている人である。
「どうだね。最近は」
「忙しいですよ」
 様式美的な挨拶を交わし、ギョームは小脇に抱えた書類束を判事に掲げてみせた。
「君は手際がよいからな。週末はしっかり愉しんでいるかね」
「ええ」
 ギョームは付け加えた。
「世間の皆さまと同様に」
「なら結構」
「判事はいかがです」
「君と同様だと答えよう。しかし、君もそろそろ身を固めたまえ。何といっても妻帯しているほうが
世間は男に安心と信用をおくものだ。仕事においても有利になるぞ」
「これは。痛いところを」
「見合いを用意してやろう」
「判事のご紹介になるお嬢さんなら、さしずめ、わたしは妻に頭のあがらない夫となるより
他ありませんでしょう。謹んでご辞退を」
「それもまたよいものだよ」
 若い頃はさぞや美男子だったと思われる顔をほころばせて、恐妻家の判事は笑い、
ギョームに囁いた。
「なに、平生は家で妻女に好きなようにさせておけ。愉しみは、他の場所に見つけるものだ。
妻は子孫繁栄のために、しかし、女の使い途はそれだけではない」
「適当に愉しんでおります。ご心配なく」
「ならいい。ただし、独身主義ははやいとこ返上したまえ。君が落ち着かぬことには
よその家に嫁ぐ決心がつかぬ女たちがたくさんいることを、忘れずにな」
 笑ってギョームの肩を叩くと、判事は迎えの馬車へと消えた。窓のない、黒い馬車だった。


 客室に戻ると、下僕の手でからだを清められ、髪を梳かれたシモーヌが
暖炉の前の椅子に坐って眠っていた。
 美しいシモーヌ。
口の利けない肉玩具として酷使されるシモーヌよりも、こうして眠っている
時のほうが、人間ばなれした、精緻な人形のようであった。
 革張りの椅子は、背もたれの部分が後ろに倒れるように出来ていた。
 ギョームはシモーヌを椅子にかけさせたまま、その両脚をとり、片方ずつ、椅子の
腕木にそれぞれかけて、膝を大きくわったかたちにさせ、余裕を持たせて皮紐で縛り付けた。
シュミーズをたくしあげて脱がし、両方の手首を椅子の背の飾りにそれぞれ結びつける。
男の力で折れそうな、細い手首だった。
それから、椅子の背を倒して、シモーヌの腰をずらし、股の溝がもっとみえるように整えた。
 シモーヌがかすかに吐息をついて、苦しげに目を覚ます。
 ギョームはシモーヌの陰部を調べた。調教部屋で張型を引き抜いてやった直後は
花びらのように口をあけたままになっていた肛門は、もうすぼんでいた。
 二本の指で、脱毛された陰唇を左右にひらく。
膣は赤く充血しているようだった。
 温かな秘部に指を差し入れ、片手は女の乳首をいじり、胸の先端をかたくしこらせてやる。
暖炉の明かりが、シモーヌの白い裸体をあかく照らしつける。
椅子が軋みだし、女の首がのけぞる。その息が切なく乱れてくるまで、長くはかからなかった。
「……アア」
「お前たちは、ひどく、クラオン侯を恐れている」
 びくり、とシモーヌの身が固くなる。それをまた、愛撫でほどいてやる。
指を曲げて、女の奥を掻き出すようにして、やわらかくさすってゆく。
滲み出てくるものを、陰裂や腿になすりつけ、悦んでいることを、女の身に教える。
オーレリアの時にもそうしてやった。オーレリアは瞬く間に昇りつめたものだった。
(ギョーム様、お願いです、もうおやめ下さい……)
「お前たちに、もし口が利けるのなら、訊きたいことがあるのだが」
 慎重にシモーヌをかき回してゆく。
陰核を剥きあげて、小さな芽をおこし、指先で軽く引っかくようにしてやる。
「シモーヌ、こうして可愛がってやるから、いまからわたしが訊くことに答えるのだ」
 拒否ではなく、身を貫いてくる快感の波に、両脚をひらかれたシモーヌは苦しげにあえぎ、
腰をふるわせて、首を横にふった。
ギョームはそれを承知ととった。
膣から溢れるもので指先をぬらし、性器の粘膜と小さな芽をほぐす。
「シモーヌ、お前は、この館を訪れる客の食卓に、はだかで給仕をしたことがあるか?」
 返事を待たず、充血した陰核をもみこんでやる。
シモーヌの両膝が不恰好にはねあがる。
ふと、ギョームは仕事がらみのことを思い出した。
(女の尋問がいつもこう出来るのなら、自白もすみやかにとれ、否認も黙秘も、無効にできるのだが)
 中世の暗さと、近代の明るさを兼ね備えたこの館の地下室にはおそらくあるだろう。
女のからだに直接尋問する、その設備が。 
「返事を怠るな。ごまかすな。嘘をついても、あとで支配人に確かめるからばれると思え。
誰かの晩餐にはべり、はだかで給仕をしたか?」
 きつく目を閉じて喘ぎながら、シモーヌは頷いた。
尻をすくうようにして、ギョームはシモーヌの肛門の周囲をやわやわと撫ぜた。
「首枷をつけて四つん這いにさせられている、そんな女を見たことがあるか?」
 頷く。
 肛門はその周囲を撫ぜまわして、辱めるだけにしておいた。
素直に答えている褒美に、ギョームはシモーヌの股に顔をつけて、舌で性器を愛撫した。
陰核を舌先でころがすようにし、溢れてくる淫水ごと、下からえぐり上げるようにして
突起部分を舐めてやる。
「いつも調教前には浣腸をされているな。犬のように、庭で、それをしたことがあるか」
 身をひくつかせながら、シモーヌは懸命に首をふる。
調教前に、いつもシモーヌは下僕の手で、湯浣腸をほどこされていた。
次回は、シモーヌの浣腸に立会ってやろう。鏡の前でそれをさせるのだ。
椅子の外に出ている女の足指が、痺れたような動きをみせている。
 ギョームは立ち上がり、寝台の近くに揃えられている張型を取り上げると、暖炉の
前に戻って、はずかしい格好をさせてむき出しになっているシモーヌの膣にそれを与えた。
張型の突起部分が、女の恥骨にあたる感触がある。
襞を開いて奥まで挿れ込み、女壷をこね回すようにして、入念に味あわせてやる。
「下僕ではなく、客人に浣腸されたことはあるか」
 首をふる。
「剥製のカトリーヌのように、三角木馬に乗せられたことは」
「生きた蛇を膣に入れられたことは」
「ダーツの的にされたことは」
 どの質問にもシモーヌは首をふる。
尋問を続ける間も、ギョームはシモーヌの敏感なところを責めてやる。
次が肝心だ。しっかり答えろ。
 ギョームは女の陰核を爪でゆすりながら、立ち上がり、シモーヌに
覆いかぶさるようにして乳房を揉んだ。
汗を浮かべ、息を切らしている女は、限界の徴候をみせていた。
「では、粗相をして、ダーツの的にされた女を知らないか」
 陰核を小刻みにつつき続ける。
「この館にいるはずだ」
 女体の腿の筋肉が張り詰め、ぶるぶるとふるえだす。女体が反りかえる。
シモーヌのように美しい女が脚をひらいて拘束され、逃れようもなく、性器責めを受けて
悶えている様子には、鹿の角に架けられたカトリーヌの清らな淫らさと通じる、淫虐と被虐があった。
 責め抜かれている女の苦悶を炙りだすようにして、暖炉の火影が、シモーヌの白い肌を染めた。
 シモーヌが、吐息のような喘ぎを上げた。
「その女を見たことがあるか。乳房やここに、矢を刺されて飾られた女だ。名を、オーレリアという」
 (ギョーム様。肉玩具は、何といっても、あの悲哀がよいのです)
 (泣こうと拒もうと、からだは男の意の侭になる。どうぞ、哀れな肉玩具をよがらせてやって下さい)
「ここだ、ここに、罰を受けていた女だ」
 肉芽を絞り上げてやる。シモーヌが細い声でなき叫ぶ。
ギョームはシモーヌの膣に挿れておいた淫具で女の奥を突きはじめた。じゅくじゅくとした音が立つ。
「答えるのだ、シモーヌ」
 女の両手が椅子の背飾りを握り締めている。
「オーレリアは、この館にいるのだな」
 問いかけへの反応は、否定でも、肯定でもなかった。
広げられた両脚を椅子の腕木にかけたまま、シモーヌは絶頂を迎え、崩れ落ちた。

 拘束をほどいてやり、ギョームはシモーヌを抱きかかえて寝台に連れて行った。
 熱いぬるみをたたえた女壷を硬くなったもので突いてやる。
どんな娼館の女よりも従順で、美しい、かなしげなシモーヌ。
美しい女は専属の愛人にするよりも、めす犬に堕とし、性奴隷として共有するほうが
興奮するという貴族の男もいる。
シモーヌも、オーレリアのように、誘拐され、連れ去られてきたのだろうか。
 消毒済みの女の肛門に指を入れて、左右に広げ、シモーヌの拡張具合をはかる。
そろそろこちらを使用してもいい。それとも、まだ、道具での調教を愉しむか。
 後ろから男に突き上げられるままに、胸をゆらして喘いでいるシモーヌ。
この美しい女を鞭で打ち、生きた蛇を膣に入れてみたいとギョームが望めば、それは叶えられる。
女を淫辱する客となることが、この館の上客となることなのだ。
(まずは、浣腸からさせる)
 マノンでもいい。イヴォンヌでもいい。
しかし、ギョームの男の本音が、シモーヌを選んでいた。
その淫夢の中では、女を眺めているのはギョーム一人だけではなかった。大勢の男たちが、
男の前で排便をさせられている美しい女を見つめているのだった。カトリーヌを。オーレリアを。
 薄い肉ごしにシモーヌの恥骨を感じる。
一面に真珠を並べた淫棒を、この次はシモーヌに与えてやろう。
それはもっともオーレリアが悦び、よく泣いた責具のひとつだった。
時々、ギョームはオーレリアに責具を装着させたまま、昼間のあいだ働かせたものだった。
柱の陰に連れ込んで探ってみると、責具を含んだそこは温かく湿って濡れており、
下着をおろさせて、オーレリアにもそれを教えてやった。
使用人のドレスの裾から手を入れて、言葉で辱めながら、オーレリアを可愛がってやったものだった。
(お放し下さい、おやめ下さい。誰かに見られたら……)
 吸い付くように男のものを咥え、あまりの刺激にそれを吐き出そうとする女の膣の収縮が
肉棹に強く絡みつく。気品のある顔をゆがめ、シモーヌの喘ぎが切羽詰ったものになっている。
幽閉され、股をひらかれている美しい女。
この女に、口がきけたらいいのだが。
(ギョーム様、ご主人さま、もうお赦し下さい…………)
 記憶の中のオーレリアの声に、シモーヌの幻の声を重ねて聴きながら、ギョームは
シモーヌの陥落に合わせて、その子宮に放出した。
 翌日は、別の女に変えた。
そして帰り際には、支配人に、シモーヌを罰したりしないようにと、頼んでおいた。
「お客さまの許可なく達してしまった肉玩具に、何とご寛容な」
 クラオン侯はにっこり笑った。
「そのようにいたします。次回には、シモーヌはさらに従順になっていることでございましょう」
 クラオン侯のその弁に、少し引っかかりを覚えたが、ギョームは鹿の剥製のある屋内玄関から
黒い馬車に乗り、『雄鹿の館』を、後にした。
 霧が出ているらしく、守衛の控える厳重な門を三つ通り抜ける際にも、湿った、暗い、
森のにおいが、馬車に染み込んできて、鼻腔に残った。
 何となく、後ろ髪を引かれるような不吉を覚えたが、ギョームは、それを疲れのせいだと
思うことにした。

 シモーヌ。
客人の前で粗相をしたお前を、これから、罰する。
シモーヌを縛り上げ、陰裂を開かせて、天井から逆さまに吊せ。
 肉玩具どもを地下室に連れて来い。
刑罰は、見せることにこそ、意義がある。

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