ご注意:苦痛・流血をともなう本編の過激描写は、小説としてのフィクションです。
決して人体に試さないで下さい。死亡・大怪我・病気に至ります。

【異教徒の妃】
◆四幕
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 後宮の地下には、牢があるといわれていた。
廻廊の最果て、薄暗い階段を降りた鉄扉の向こうには、その昔、外部と通じた疑いのある
宦官や女たちを罰していた、拷問部屋があると言われていた。
 王子は、王子を生んだ後宮の奴隷女に訊ねた。
 その女は何をして、あそこに閉じ込められているのか。
後宮の女は、すべて父王の奴隷であった。
その中でも、最も身分が低いのが、異教徒の女奴隷であった。
 王子の母は、不愉快げに、はき捨てた。
その女は異教の神を信じ、王を称えないのです。
王により国を滅ぼされたというのに、何という傲慢な。
「王子がお気になさるような女ではございません。賤しき奴隷め、王の監視の下で
拷問にかけられても、改宗に屈さず、そのような卑怯な手段で、王の関心を繋ぎとめているのです」
「ほんに。わらわたちに渡して下されば、そのような女、惨めに這い蹲らせて泣かせてやりますものを」
 王子は、おつきの者たちの目をぬすんで、その獄に近付いた。
天窓から地下牢を覗いても、石床しか見えなかった。
廊下に戻って、突き当たりの石階段を降りると、頑丈な鉄の扉があった。
「異教徒を罰してやる。中に入れろ」
 王子は宦官に命じた。
地下室は陰気に狭く、薄暗かった。
かわった形の椅子や、獄塔で見るような拷問道具があった。
壁に架けられた鞭や、さまざまな器具。
天井からは枷つきの鎖が垂れており、東西のあらゆる国で開発された効果的な責具が、
幾種類も揃えられていた。
 壁際には、木製の三角木馬が据えられてあった。
その尖った背に、王子は手を這わせた。
奴隷や捕虜の拷問なら、その監督も、実際にやることも、子供の頃から慣れている。
冷酷な美貌の王子は、手にした鞭を折り曲げた。
「異教徒の女を連れてこい」
 なりません、と宦官がそれを止めた。
王は、奴隷の肉体を著しく損なうことをおゆるしになってはおりません。
 ふん、と王子は鼻を鳴らした。
獄塔ではなく、後宮の中に連れて来られるほどである。
その女、父のお気に入りになるほどには、美しい女なのであろう。
「顔を拝んでやるぞ」
 通りすがりに王子は並んだ責具の中から一つを選んで、それを手の中に握り締めた。
異教徒女の穢れた肉体がどれほど敏感かみてやろう。徹底的にはずかしめてやる。
 壁際の石段を上がったところにある中二階が、女の閉じ込められている牢であった。
王子は控えの小部屋を通り抜け、その奥にある、鉄格子の扉の鍵をまわした。


『年長の王子が、王から異教徒を譲り受け、女の牢にお通いに』
『異教徒の女は、王子のご調教が利いたのか、王子のよき玩具となってございます。
最近では自ら尻をふり、王子に続きをねだるとか』
『異教徒を屈服させることは、王子のご教育にも相応しく、王もそれをご奨励。
王子は宦官医師とご相談の上、異教徒の女に薬の投与を重ね、ついに強情な異教徒を改宗せしめ、
そのしるしとして、宦官たちの前で、女に自慰をさせたとか』
『王子。王子のご命令どおり、女の手首を切り、三角木馬に跨らせて放置しておきました。
弱っていた女は、悶絶の果てに、息絶えましてございます。
けがらわしい体液や血で床が汚れております。女を剥製にする第一段階の措置が済むまでは
地下室にお入りになってはなりません。御身が穢れまする』
 
 
 ほどなく父王が死に、王子は、十二歳で帝国皇帝に即位した。
異教徒の女の剥製は、望みどおりには仕上がらず、過程のどこかで腐敗し、焼却処分された。
「剥製にしたその女を槍に刺して陣頭に掲げれば、異教徒どもはすぐに城門を
開いて投降すると思ったのだ。いかにも少年らしい考えだとは思わぬか」
 後宮の女たちを集めた宴の席であった。
盃を満たした酒をすすり、低い声で、王は笑った。
美媛たちは揃って、ほほほと追従の笑い声を上げ、大いに、王のその話を面白がった。
薄衣をまとい、着飾った美女の中の美女たちが、絨毯の上に半身を横たえているその様は、
まさに百花繚乱であった。
 女たちは笑った。
「幾ら美しくとも、異教徒ではねぇ」
「どうせならその女が、異教徒の聖堂に仕える巫女だったらもっとよかったのですわ」
「敵陣の目前で、はだかにしたその女に王の沓を舐めさせ、ご奉仕させれば、さぞや異教徒どもの士気を
喪失させてやれたのですわ」
「それよりも、はずかしい格好にさせたところを画家に描かせて、版画にしてばら撒いてやっては」
「ほほ、まったく賤しい異教徒女には、それくらいがお似合いですわ」
 女たちは、ちらりと王へ、媚たまなざしを送った。
 酒盃を片手に、王は薄く笑いながら、女たちが喋るに任せた。
王は、後宮の女たちが本当は何を何を知りたく、何を言いたいのか、よく心得ていた。
「ところで------」
 女たちはそろそろと、核心に迫りつつあった。
「ところで、異教徒は決して信仰を捨てないとか。征服するごとにその地の異教徒を
皆殺しにしてしまうのは、その為であるとか。異教徒たちは、彼らの神を捨てるくらいならば、
死を選ぶとか」
「だから生きて捕らえた者には薬を与えてやるのですわ。何といっても、まず言葉を喋らなくなりますもの」
「それはいいわ。汚らしい聖句など唱えられたら、たまったものではありませんものね」
「薬漬けにすれば、強情な異教徒も従順な家畜に変わりましてよ。下層の奴隷市場ではそうやって
仕込まれた異教徒の奴隷たちに、いやらしい芸をさせて見世物にするのが、下々の流行りとか」
 ちらちらと、後宮の美女たちは、王を窺った。
そのうちの一人、これは王の子を生んだ女であったが、その地位に勇を得て、女は慎重に王に申し出た。
「王。ゆるされますならば、今宵、後宮の女たちの願いを一つ、王にきいていただきたく存じます」
「申してみよ」
 王は、酒盃を空にした。
すぐに隣りにいる女が、王に酌をした。
女は、生唾を飲み込んだ。
お手がついたといっても寵愛されているかといえば、その自信はない。王はいつも冷淡であった。
初めてお召しがあった夜も、処女を抱くにはあまりにもいたわりのない遣り方であったし、それに
そのお渡りとても、あれから数回あったかなかったか。
でも大丈夫。わたくしは王の子を生み上げた女。父は宮廷に勢力を持ち、代々皇帝家に
お仕えして、幾人もの皇帝の、外戚となってきた名門中の名門。
王とても、このわたくしだけは、疎かには扱えぬはず。
「王よ」
 艶やかに女は微笑み、もっともおのれが美しく見えるように透けた衣の下でその白い姿態をくねらせ、
罪のなさそうな、あどけない顔をつくって、扇を片手に、しなをつくった。
王よ、あの例の、地下牢にいる、異教徒の女奴隷のことでございます。
「異教徒を懲らしめるのに、王のお手を煩わせることはございません。
調教にご参加されておられる王子たちの話によれば、薬の効果もあって、もうすっかりおとなしいとか。
よく言うことを聞く女奴隷ならば、わたくしたちが雑務をさせるのに遣ってやってもよいのですわ。
異教徒の女などなかなか見る機会がございません。一度その女を地下牢から、外にお出し下さいまし」
「”うさぎ”だ。片脚が悪く、歩く時に少し引きずる」
「そんな女でも、使い途はありますわ」
 花が岸辺に寄せるようにして、女たちは身を乗り出し、こぞって熱心に王へと頼んだ。
「王よ、その賤しき女を、わたくしたちにお与え下さいませ。王のおゆるしをいただけますならば、
下女として扱き使ってやり、異教の神に、その者の悲鳴を聞かせてやりましてよ」
「王に従わぬ異教徒に何の遠慮がいりましょう。手足を切り落とし、廻廊に転がして飼っておくのも
 一興ですわ。粗相をすれば、乳首をつねり、餌を与えずに逆さ吊りに」
 王の寵を奪われた女たちは、異教徒の女へ嫉妬と憎悪で煮えたぎっていた。
女たちは、異教徒の女の股に鉄棒を入れて、その身を引き裂いてやるのだと息巻いた。
「異教徒がどれほどふしだらで不潔なものか、間近でとくと、その芸を拝見したいものですわ」
「美しいのは見た目だけ、その性根は、びっこを引くという片脚のかたちそのままに、ひねくれているのでしょう」
「わらわたちの間で、とくとその女を、躾けてやりとう存じますわ」
異教徒に制裁を。その賤しき女に、王を奪われたわらわたちが味わった千倍の苦しみを。
 王が盃を置いて、立ち上がった。
音楽がやみ、女たちは、しんと静まり返った。すでに、夜は更けていた。
戦神のように逞しく、残酷で、美貌の若い王は、後宮の女たちを完全に支配していた。
 王は居並ぶ女たちを睥睨した。
そのお目にとまるように、女たちはその顕わな胸や、その細い腰や尻の曲線がよく見えるようにして、
居ずまいをなおし、紅を塗った唇をひらき、眸を媚でうるませた。
「王、どちらへ」
 廻廊の最果ての地下牢へ向かう王の背中を見送る女たちは、その美しい顔を女奴隷への
憎しみでひき歪め、唇を噛みしめた。


 -----あれほど可愛がってやったのに、まだ、邪神を棄ててはいなかったか
 -----宦官たちの間を這い回り、股間を濡らしながら改宗に応じたのは、すべて、嘘だったか
 -----この女をこのまま木馬に乗せておけ

 -----片脚をひく女の子なぞ、誰も養女にはしないよ。怨むんじゃないよ、みんな、貧しいんだ
 -----お前は修練女になるのだよ。一生涯あの聖堂の中で、神にお仕えして過ごすのだ
 -----厄介者が片付いてせいせいした。目に入る場所でびっこなんか引かれたら、辛気くさくてかなわない

 -----なおも王は、異教徒の女をご寵愛。調教中に女が失神すると、手づから介抱を。
    最初の強制しつけ期間が過ぎ、今はお気に入りの性奴隷として、地下牢に閉じ込めておられます
 -----王が今のように異教徒に対して残酷になられたのは、先代の御世、王子であられたみぎりに、
    情けをかけた異教徒の女が、王を裏切ったからとか


 夜の後宮がいかに宴で華やいでいたとしても、その地下だけは、暗く、静かだった。
 異教徒の女は、片手を壁につけ、石壁に凭れるようにして、立っていた。
紅も香も華美な衣裳もない、小さな灯りに照らされた質素な女のその姿を、王は好ましく眺めた。
宴の席を退出して、地下牢を訪れた王は、女の片腕をとった。
「歩こうとしているのか。歩いてみよ」
 女は王に支えられて、ゆっくりと数歩、片脚を引きながら歩いた。
緩慢な動きであった。
長い間薬漬けとなっていた女はびっこを引くたびに、均衡を崩して倒れかかった。
王はあぶないところを抱きとめた。
女のからだを支え、王は真上に目を向けた。そこには通風孔があり、小さな夜空が見えた。
「月を見ようとしていたのか」
 女は、抱いている者が誰かを今ひとたび確かめるようにして、そろそろと王を仰ぎ、それから、
怖ろしげに俯いた。
「今宵は少し意識がはっきりしているはずだ。何故か分るか?」
 王は女を寝台にはこび、その衣を剥ぎ取った。
「薬の量を減らしているのだ。異民族の王の性奴隷となった気分はどうだ。
今さら自殺をしても、お前は神のもとにも、死んだ民のもとにも、もう迎え入れられぬぞ」
 その夜は両手首ではなく、ほっそりとした女の、片方の足首だけに枷を嵌め、王はその鎖を寝台の
柱の留め具に繋いだ。
片脚だけを吊るされた、はずかしく、苦しい体位にさせておいて、王は上向きにむき出しとなった
女の秘処と、肛門を指でなぞった。
「言葉はもう喋れるな。薬は減らしてやったが、調教中にどんな辱めを受けたか、よく憶えておくのだ。
お前がどんな淫らな格好をして悦んでいたかを」
 陰部の溝を愛撫しながら、王は女が見せた数々の痴態を、女に教えた。
 浣腸をほどこされた女に、王がようやく許可を与え、尻の栓が外されて直腸を洗浄された時の有様は
特に、女をはずかしく嘆かせた。
 唇の上にそれをあてて促すと、諦念の女は、調教されたとおりに、男のものをかなしく口に含んだ。
口淫をさせる間も、王の目は、女の苦しげな顔から離れなかった。
女の唾液で濡れた男の一物は、異教徒の尻穴のすぼみを撫ぜ、その一点を叩くように突いた。
「明日、宦官がお前のここに、新しい栓を嵌め込む」
「命じるままに、淫芸をするよう仕込んでくれる」
 女は両手で顔を覆ってしまった。
その女の小さな乳房を揉みしだきながら、王は顔を覆っている女に云った。
「これでもお前の神が、お前を救うと信じるのか。このように穢された、賤しいからだの女を」
 女は相変わらずおとなしかったが、王の言葉に応えて、よわよわしく、絶望に首をふった。
そんな様子は、聖堂で祈るのを見た時と変わりなく、怯えた女をいっそう敬虔にみせた。
残酷に笑い、王の指は、さらなる責めへと移った。
「お前の大切な神を讃える聖句を口にしてみろ。散々、涎を流し、注ぎ込まれてきた、その身体で」
 苦しげに首を振る女に、王は再度命じた。
熱を帯びてゆく女のからだの、その乳首は立っていた。
「言うのだ。お前の神を讃える聖句を聞かせてみせろ。こうして、よがっているこの身体で」
 剥き出しにした女の陰核を擦り上げた。
女ははじかれたような悲鳴を上げて、つま先の足指を丸め、喉をそらし、腿をふるわせた。
過敏な小さな膨らみの充血の上に、王は振動を加え、抉りこむように細かくいたぶった。
「あ、あああ」
「これが好きなのだろう」
 女の反応を見ながら、強弱を加え、いたぶる。
「お前の神を讃えてみせろ。穢れたお前のこの身体が、まだそれに相応しいというのならばな」
 王の指が膣の中にもぐった。
襞という襞を解きほぐすようにして、男の指が、女の深部を探りまわった。
「お前に、めす犬の芸をさせてやる」
何かが壊れたかのように、女は涙を流し、泣きはじめた。
「異教徒め」
 王は女の膣口にそそり立ったものをこじ入れると、女の腰を割るようにして大きく突き入れた。
ひっと女が悲鳴を上げた。
「それがお前の聖句か」
 王は笑って、腰を動かした。
女は王から逃げようとし、鎖で上げられている片脚を引き攣らせ、拘束具を鳴らした。
白い乳房が、ぶるんと震えた。
「あ、あ、いや」
「いい声だ。お前の神に、もっと聞かせてやれ」
 恥骨に擦り付けるようにして、王は奥を突き、子宮口を突き上げた。
牢の灯りに照らし出された男と女を繋いだ壁の影は、奇怪な生き物のように寝台を軋ませて跳ね動いた。
二度目には、女の中からも淫水の音が立ち、潮のような温かなそれが外にも零れ出した。
柱に繋いだ女の片脚に、王は唇を這わせ、膝裏の汗を吸い取った。
「びっこを引く、この脚の不具は生まれつきか?」
 芯を熱く裂かれている女は、その姿勢で受ける快感と、男の重みに、喘ぐばかりで答えられなかった。
悶える女の股にさらに身を入れるようにして、王は真上から突きにかかった。
 

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